2010年08月07日

倒産企業の事例研究/リッカー

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昨日、一昨日と企業の成功要因を学ぶための『事例研究』を記事
にしましたが、本日は倒産による『事例研究』をご紹介します。


ご紹介する企業は『リッカー』
 リッカーは、昭和30年代から40年代にかけてミシンマーケット
 の50%のシェアを握る、ミシン業界のトップメーカーでした。
 しかし、昭和59年(1984年)に負債総額1100億円を抱え倒産。


◆倒産にいたる背景◆
・リッカーが本業としていたミシンマーケットは、昭和30年代には
 普及率30%であったが、昭和40年代になると普及率70%と飛躍的
 に成長していました。
・この時期には独自の「月掛け予約販売システム」により、トップ
 シェアを取り、大きく成長したのです。
・ところが昭和44年のミシン生産台数430万台のピークを迎えてから
 は、生産台数がジリ貧の状況になり、昭和58年には160万台までに
 落ち込みました。
・このような環境変化に対しリッカーが取った施策は『他事業分野
 への多角化戦略』
でありました。
・昭和40年には三洋電気と提携して、脱水式電気洗濯機を取り扱い、
 家電製品への進出を果たし、続けて冷凍冷蔵庫を開発し、いずれも
 飛ぶように売れた。と言われています。
・しかし、生産を他の提携会社に委託するOEM供給方式を採用した
 ために、リッカー自身は技術力が蓄積されず、コストダウンも容易
 に進まない状況で、家電事業も競争力を失うことになります。
・また、多角化戦略としてホテル事業や物流事業への進出も実施して
 結局は資金の固定化を招いて本業の足を引っ張る形となりました。


◆倒産の真の原因◆
・リッカーのケースでは、多角化戦略が次々と失敗して自分の首を絞
 めるカタチになったのですが、多角化戦略が間違いだったか…?
 実は間違っていなかったのです。
・現に家庭用ミシンメーカーの御三家と言われていたブラザー工業は
 リッカーと同様に多角化戦略を採り、電子タイプライターや小型の
 プリンターといった情報機器において成功しています。
・すなわち、この時期に多角化戦略は有効な手段だったのです。
・ではリッカーの倒産の真の原因は何だったのか…?
 それは数字にこだわり過ぎたことでありました。(売上至上主義)
・まずは売上にこだわり過ぎたていたために、売上高が容易にあがる
 OEM供給に依存し、メーカーとしての自社の技術力を高めるとか
 生産力を強化する、あるいは他社と差別化商品を開発する、と言う
 企業体質を強化しなかったのです。
・またホテル事業にしても、売上高を重視し過ぎたために「お客様」
 本位になり切る前に12店舗のホテル展開をしてしまい、遂には行き
 詰ってしまったのです。
・リッカーは本業においても売上拡大・業績向上等々の数字に固執し 
 た施策を行っていました。
・ミシンマーケットが衰退している昭和56年の積極拡大路線の最中に
 は、各支店に過大なノルマを課せ、売上が上がれば営業マンの給料
 に反映するコミッション制度を取り入れています。
・ついには営業マンは「売上ねつ造」まで追い込まれ、押し込み販売
 が横行するようになり、各支店長は「売上ねつ造」に尽力するよう
 になって行きました。
・急激に増えた売掛債権は資金繰りを圧迫し、リッカー倒産へ一直線
 に導いたのでした。
・倒産時の売掛債権は、590億円。そのうち「ねつ造売上」は100億
 円とも200億円とも言われています。


◆企業体質強化が重要な戦略◆
・リッカーの倒産から学ぶべきは、売上・利益を追求するのは良いと
 しても、中身を重要視せずに過度な売上至上主義は破綻する。
経営は利益追求する活動であるが、利益だけを追求して展開された
 戦略は、企業体質を弱体化
されてしまう事例です。
・すなわち経営計画策定も「売上目標達成」「利益目標達成」を目指
 した計画では、環境変化に対応することができません。

・環境変化に対応するためには売上・利益目標を達成するための計画
 ではなく『企業体質強化』を目指した計画にしなければ、
 今後の生き残りは難しい。ことを理解して戴ければ大変ありがたい。
 のですが… 


◆最後に…◆
・中小企業さんに『3年後の環境変化に対応する戦略は…?』
・そんなことを言うつもりもありませんが、少なくとも皆さんの企業
 を取り巻く環境が変わっている。と感じたら、是非とも環境変化に
 対応する施策を考えて下さい。
・また、ご自身で思いつかなかったら無料ですので『経営相談』
 に来て下さい。
・経営コンサルタントは、そんなに敷居の高い業界ではありません。
・また、私達は相談を受けて、期待に応えてナンボの世界です。




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